ニュースを掘り下げる「ソレナニ」のコーナー、今回、2年後に新たな施設が誕生する広島城に迫ります。

《VTR1》
【久保田千晶記者】
「広島城の5層までのぼってきました。展望スペースに出ます。広島の街がよく見えます。眺めがいいですね。屋根の向こう側が新しく歴史館ができる場所。いまは周辺施設の工事が進んでいます」

原爆で被害を受け1958年に再建された広島城天守閣。
インバウンド効果もありコロナ禍前と比較しても入館者数は増えていて、去年は過去最高のおよそ43万人が訪れました。
そんな広島城が抱える問題が「老朽化」です。

【広島城・小林奈緒美主幹学芸員】
「三角になっているところの間に緑色の木が生えている。ここを立ち入り禁止にしたのはこのエリアが危ないっていうのはあるから。植物とかも生えていますので、漆喰がパラパラ落ちてきたり…」

草木が生えると壁のひび割れなど劣化が加速します。
雨水や空調の水がうまく排水されず天守閣の内部でも…

【広島城・小林奈緒美主幹学芸員】
「このあたりから水が漏れたんですね大雨の日に」
「まだバケツとぞうきんが置いてありますね」

国内外問わず観光客やお城ファンが訪れる広島城の天守閣を巡っていま、その「未来」が注目されています。

《スタジオ》
ここからは広島市政担当の久保田記者です。
今回のテーマは「広島城が変わる?!」

岡野さん、広島城に行ったことがありますか?

【岡野アナ】
「いえ、エディオンピースウイング広島から眺めたことはありますが、中はまだです」

ぜひ、早めに行ってください。
天守閣は来年度後半には登れなくなります。
まさに「広島城が閉まる」んです。
理由は大きく2つあります。
まず天守閣の「老朽化」。
ふたつ目は「耐震性」です。
当時の建築基準も今とは違いますし「震度6強の地震に耐えられないのでは」という判断が出ています。

天守閣は閉まりますが、ご安心ください!
中にあった展示物はお堀の外に2026年度オープン予定の「三の丸歴史館」移設されます。スペースが広くなり広島の歴史を知る体験エリアも作られます。楽しみですね。

天守閣の中身、展示物は行き先が決まりましたが、一方、天守閣そのものはというと…広島市としては2つの案を検討しています。

ひとつは「耐震工事」。
これには長くても6年と『工期が短く済む』メリットがありますが、あくまで延命措置なので老朽化は解決しません。30年ほどで建物自体の寿命がくると考えられます。

そしてもう一つは「木造で復元」する案です。
これには4年前の試算で86億円ほどかかると言われていて、完成までに数十年長い時間を要します。

Q:「木造」以外で復元する案はないんですか?

ほぼ、あり得ないんですね。
文化庁は、2020年に新たな基準を設けました。当時の規模や外観を忠実に再現できる「根拠」をもったものでないと「復元」を認めないという方針です。
根拠となる資料や図面、写真が残っていることが重要です。
全国に100あると言われる城のうち木造復元できる城はわずかと言われています。
広島城は原爆で倒壊する1945年まで建っていたので写真もありますし、運よく詳細な図面も残されています。

当時の姿を再現できる貴重な城なんですね。
その広島城の未来を担当者はこのように話しています。

《VTR2》
【広島城・小林奈緒美主幹学芸員】
「木造(再建)にかじを切ると天守閣にのぼれない期間が長くなる。かなり調査期間も長くなりますし、耐震(工事)の場合は短い期間の休館でできるメリットはある。
ただ「木造だけど新しい城」という方が観光の起爆剤になる。
しかも全部の日本全国の城が木造復元できるわけじゃない。
その中でも(広島城は)木造復元できる城の一つですから価値は大きい」

《スタジオ》
今のままの天守閣で耐震化を進め「観光資源」として使い続けるのか、木造復元し「文化的価値」も新たに作り出していくのか。
『広島城の未来』を私たち市民がいま考える必要があります。

早田先生、2つの選択肢がありますが、いかがですか?

【コメンテーター:叡啓大学・早田吉伸教授】
「メリット、デメリットがあり、決めきれないところがありますが、未来への投資として広島城を広島市の資産として活用していくのかという視点で合意形成できるといい」

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