韓国国旗=ゲッティ

 「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)の世界文化遺産登録を巡り、登録の可否を調査する諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部・パリ)が6日に追加情報の提出を求める勧告をしたことについて、韓国外務省は7日、「全体の歴史が反映されなければならないという我々の立場とイコモスの勧告を土台に、日本との協議に誠実な姿勢で臨みたい」とのコメントを発表した。

 韓国では、朝鮮半島出身労働者の強制労働についての批判を避けるため、日本政府が世界遺産登録の範囲を16世紀末~19世紀半ばに限定したと受け止められている。保守系紙「朝鮮日報」は、イコモスが追加的勧告で明治以降を含めた全体の歴史を扱う展示戦略の策定を求めたことに言及し、「(日本側が)日本植民地時代の強制労働の歴史を取り扱わない問題を改善するよう勧告したとの解釈が出ている」と説明した。

 今回の勧告について韓国外務省関係者は7日、「歴史問題について韓国の立場は変わらない。ある歴史を除外したり、過小評価したりしてはならず反映しなければならない」と強調。「日本がどうするかによって反対するかどうかが決まる」と述べた。もし、日本が朝鮮半島出身労働者について展示に反映しない場合は登録に反対するとの立場だ。

 2015年に「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産登録された際には、世界遺産委員会で日本政府は朝鮮半島出身労働者について説明する措置を講じると約束した。だが、21年7月に委員会は日本が十分に対応していないとして「強い遺憾」を表明する決議を採択した。韓国外務省関係者も日本が約束を「まともに履行していない」と批判。「今回は日本がきちんと履行するよう協議している」と述べた。【ソウル日下部元美】

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