沖縄三大綱引きの一つで450年以上の歴史がある与那原大綱曳(ひき)の成功を祈る神事「アブシバレー」が5月22日、与那原町内であった。本島中南部に大雨警報が発令される中での御願(うがん)に、実行委員の区長らから「10年以上参加しているけれど初めて」との声が上がった。(南部報道部・平島夏実)

 雨男は誰か、と笑いが出た一方、「与那原大綱曳はもともと雨乞いの行事だからね」と納得顔も。町内5カ所の拝所を回り、最後はカタツムリを乗せた小さな帆掛け船を同町当添の海岸から流した。アブシバレーは田植え後の豊作を祈願する「虫払い」の意味。

 一行は(1)与那原発祥の地として住民が平和を祈ってきた「上之殿(イーヌトゥン)」(2)与那原発祥の門家を祭った神屋「宗之増(ソウヌマシ)」(3)阿知利毛(アチリモー)(現在の町営阿知利団地付近)に住んだ実力者「阿知利世主(ユウヌシ)」を祭った拝所(4)山原から首里に納める木材の置き場所に指定された史実が由来となっている「御殿山(ウドゥンヤマ)」(5)天女が出産時に産湯を取ったとの神話が残る「親川(ウェーガー)」を巡った。

 実行委員長で江口区長の山内和実さんは「五穀豊穣(ほうじょう)、無病息災。大綱曳が無事に終わって町が発展しますように」と手を合わせた。線香には米と酒をかけ、阿知利世主(アチリユウヌシ)にはさい銭も備えた。

 帆掛け船はバナナの茎7本を組み合わせたもので、長さ約70センチ。甲板部分にカタツムリを10匹乗せ、海に流した。カタツムリは浜田区長の真謝守雄さんが自宅の庭で集めたといい、「ちょうど雨だったからね。たくさんいたよ」とほほ笑んだ。

 ことしの与那原大綱曳は8月4日。開催までにあと3回、拝所を回る。

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