(左)第82期名人戦第5局で対局する藤井聡太名人、(右)腕を組んで盤面を見つめる挑戦者の豊島将之九段=北海道紋別市のホテルオホーツクパレスで2024年5月26日、岩下幸一郎撮影

 藤井聡太名人(21)に豊島将之九段(34)が挑戦する第82期名人戦七番勝負の第5局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、北海道紋別市など地元共催)が26日、紋別市のホテルオホーツクパレスで始まり、豊島九段が16手目に4二飛とし、名人戦で13年ぶりに振り飛車が登場した。午後6時32分、藤井名人が47手目を封じて1日目の対局を終えた。持ち時間各9時間のうち消費時間は、藤井名人3時間57分、豊島九段4時間11分。

 藤井名人の3勝1敗で迎えた第5局は、市制施行70周年を記念し、初めて紋別市が名人戦の舞台になった。居飛車党の豊島九段はこの1年間は時折振り飛車も見せ、今シリーズも飛車を振るかどうかが注目されており、豊島九段が四間飛車を選ぶと、控室から「振った!」の声が上がった。名人戦では、第69期の第3局(2011年)で森内俊之九段の挑戦を受けた羽生善治名人(当時)の中飛車以来の振り飛車だ。

 藤井名人が穴熊囲い、豊島九段が美濃囲いに玉を収めた。藤井名人は6八角(43手目)と引いて2筋からの攻めを見せ、豊島九段は6二飛(46手目)と6筋を狙った局面で、藤井名人が次の手を封じた。

 解説の広瀬章人九段は「名人戦で振り飛車は珍しいが、歩をあえて取らせて角道を開けた藤井名人の6五歩(29手目)は更に珍しく、対抗形の中でも類型のない形。先手陣が圧倒的に堅いので、後手の方が神経を使いそう。手持ちの歩を使ってどう攻めるかがポイントになる」と話した。【丸山進、新土居仁昌】

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