北海道紋別市のご当地ゆるキャラ「紋太」と観光名所になっている「カニの爪オブジェ」=紋別観光振興公社提供
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 北海道紋別市のホテルオホーツクパレスで始まった第82期名人戦七番勝負の第5局1日目午前のおやつで、藤井聡太名人(21)と豊島将之九段(34)は「紋太くん塩バターどら焼き」を注文した。紋別市のご当地ゆるキャラ「紋太」の登場に、SNSでは「かわいい」などと、にわかに注目を集めている。

 紋太は、紋別沖のオホーツク海の流氷の上で生まれたアザラシで、一般公募から選ばれたキャラクターだ。寒さには強いが、おなかだけは冷えないように腹巻きが欠かせないおじさんで、53歳という。頭の上に乗っているのは大好物のホタテ。気分によってイクラやかにの爪、サケも乗せている。身長は173センチと大柄だ。

 自慢のはっぴのデザインは流氷。日本で流氷を見られるのはオホーツク海だけで、紋別観光振興公社などによると、例年1月から4月上旬ごろまで紋別沖などで確認できる。流氷を砕きながら進む観光船「ガリンコ号」が止まる湾内では、10月後半から2月ごろに、アザラシが姿を見せることもあるという。

第82期名人戦第5局で紋別入りし、アザラシの「日和」と一緒に写真に納まる藤井聡太名人(左)と挑戦者の豊島将之九段(右)=北海道紋別市のアザラシシーパラダイスで2024年5月25日午後2時57分、岩下幸一郎撮影
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 紋別市は、野生のアザラシを保護する活動も盛んだ。けがをしたり、迷子になったりしたアザラシを保護し、リハビリして海に帰す日本唯一の施設「オホーツクとっかりセンター」がある。第5局の対局前日、藤井名人と豊島九段が訪れた「アザラシシーパラダイス」もその施設の一つで、アザラシにエサをあげることができるのが特徴だ。

 こうしたアザラシとの触れあいもあり、両対局者が1日目午前のおやつにそろって紋太の焼き印がされたどら焼きを選んだことはSNSでも話題になった。また、紋太の年齢が羽生善治・日本将棋連盟会長(53)と同い年であることから、「羽生先生と同じ歳かよ」「羽生世代」といった投稿も見られた。

 紋別観光振興公社の担当者は「アザラシは紋別の観光で一番人気。藤井名人と豊島九段が訪れたカニの爪のオブジェも、遠方からライダーらが集まる人気の写真スポットになっているので、ぜひ紋別を訪れてほしい」と話した。【神内亜実】

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