第79期本因坊決定戦五番勝負の第2局で勝利し、対局を振り返る一力遼本因坊=長野県高山村の藤井荘で2024年5月23日午後6時15分、長谷川直亮撮影

 一力遼本因坊(26)に余正麒八段(28)が挑戦し、一力本因坊が先勝して迎えた第79期本因坊決定戦五番勝負の第2局(毎日新聞社・日本棋院・関西棋院主催、大和証券グループ特別協賛、長野県高山村地元共催、藤井荘協力)が23日、高山村の山田温泉「藤井荘」で打たれ、午後6時に一力本因坊が219手で黒番中押し勝ちした。一力本因坊は初防衛にあと1勝とした。持ち時間各3時間のうち、残り時間は共に1分。第3局は30日、三重県鳥羽市の老舗旅館「戸田家」で打たれる。

 近年、初夏の囲碁・将棋の熱戦の舞台となっている藤井荘。新緑の木々が生い茂る渓谷に面し、森鷗外ら文人も愛した美しい風景が眼下に広がる。本因坊戦は、11連覇の新記録がかかっていた本因坊文裕(35)=井山裕太王座=に一力本因坊が挑んだ2022年の第77期第3局に続く開催で、将棋では23年に第81期名人戦第5局があり、藤井聡太名人(21)が史上最年少での名人位獲得を果たした。

 対局は午前10時、立会の高尾紳路九段が声を掛けて始まった。午前中、上辺で競り合いが始まり、午後にかけて戦線は中央に拡大。一力本因坊が打ちやすい展開かとみられたが、余八段が時機を見て白102と動き出し、中央の大石の生死も絡んで一時、形勢は混沌(こんとん)とした。しかし、白114に一力本因坊は機敏に黒115とハネ、右下から中央へつながって対応し、その後も粘りを見せる余八段を振り切った。

 解説の横塚力七段は「余さんの仕掛けのタイミングはよく、その後に悔やまれる手があったのが残念でした。最後は一力さんの確かな形勢判断が光りました」と話した。【最上聡、武内亮】

一力遼本因坊の話

 白102とコスまれた時はどう打てばいいか分からず、勝ちが見えたのは最後。(第3局は)来週なのでしっかり準備して臨みたい。

余正麒八段の話

 右下の勝負どころで正しく打てず残念。あまりチャンスはなかった。(第3局は)いつも通りに一局に集中して頑張りたい。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。