北陸新幹線の県内開業で、これまで以上に全国から注目されているのが福井の「恐竜」です。GWには、首都圏からの観光客を含め8万6000人余りが県立恐竜博物館へ足を運びました。こうした恐竜人気を支えているのが調査・研究分野の充実です。「デジタル」の力で恐竜の謎を解き明かそうと研究を進めている男性研究者を取材しました。
恐竜研究の最先端を垣間見られると聞いて向かったのは、県立大学・永平寺キャンパスの恐竜学研究所、河部壮一郎准教授です。河部准教授は、本来は壊さないとみることができない恐竜の下あごを、CTスキャンしてデータを観察する研究をしています。下あごの中に埋まっている歯を容易に観察できるそうです。
河部准教授は愛媛県出身の38歳、CTスキャンなどデジタル技術を活用した恐竜研究の第一人者です。東京大学の大学院や岐阜県の博物館の学芸員を経て、2016年から福井を拠点に最先端の恐竜研究に取り組んでいます。
河部准教授は「下あごの中に血管や神経が通っていた管が、化石になっても残っている。そういった情報を集めると生きていたころの恐竜がどんな動物だったか、CTデータから見えてくる」と説明します。また、アトラクションで登場する恐竜の動きについて聞くと「あーなんか違うなとか、これはいいなとか感じる」と話してくれました。
勝山市で発見された新種の小型獣脚類「フクイベナートル」については、耳や鼻が発達しすばしっこく動き回っていたという生態が、河部准教授が頭の化石を分析したことで分かりました。また2019年には、恐竜の生態を脳科学で解き明かす、県立恐竜博物館の特別展「恐竜の脳力」も監修しています。
河部准教授は「(恐竜が)どのように動いてどのように暮らしていたか、見ることはできないが見てみたいというのが根底にある。研究で明らかにして、こんな様子だったと思いますよ、と皆さんに見せられるのが一つのモチベーション」と話し、今後への思いについては、「いま、福井といえば恐竜。しっかりと基礎の部分、研究を僕たちは押さえていかないといけない。責任を感じながら、楽しんで発信していけたらいい」と笑顔で語ってくれました。
また川部准教授は、このほど「デジタル時代の恐竜学」という本を出版。最新の恐竜研究の舞台裏を楽しむことができる内容になっているということです。
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