感想戦で対局を振り返る一力遼本因坊(右)と余正麒八段=東京国立博物館の九条館で2024年5月14日午後5時39分、北山夏帆撮影
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 一力遼本因坊(26)に余正麒八段(28)が挑戦する第79期本因坊決定戦五番勝負第1局(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ特別協賛、東京国立博物館協力)が14日、東京都台東区の東京国立博物館で打たれ、同日午後5時32分、一力本因坊が188手で白番中押し勝ちした。一力本因坊は2連覇に向け、好スタートを切った。持ち時間各3時間のうち、残り時間は余八段1分、一力本因坊1分。第2局は23日、長野県高山村の「藤井荘」で打たれる。

 同博物館で囲碁のタイトル戦が打たれるのは初めてで、一力本因坊と余八段によるタイトル戦も初となる。対局場の同博物館は、1872(明治5)年に設立された日本最古の博物館。平成館や東洋館などからなる日本最大級の博物館で、国宝89件など約12万件の美術品や工芸品を所蔵する。

 対局室は、敷地の一角にある九条館に設けられた。午前10時、立会の張栩九段の掛け声で対局が始まり、ニギリの結果、余八段が先番(黒番)に。形勢互角のまま中盤戦に突入するが、戦いが中央に移った局面で一力本因坊が若干リードを奪う。余八段は左辺の白の大石を狙って黒109~119と打つが、一力本因坊は白120、122と的確な対応を見せてシノギ切り快勝した。

 解説の河野臨九段は「お互いが秘術を尽くした面白い碁になった。一力さんの充実ぶりが光ったが、余さんも随所に好手を繰り出し、悲観する内容ではなかった。2局目以降もレベルの高い熱戦が期待できる」と話した。【武内亮、最上聡】

一力遼本因坊の話

 一手一手判断が難しかった。左辺をつながることができ、よほど大きく取られない限りは、という形になった。今後も毎週対局が続くので、気を引き締めたい。

余正麒八段の話

 実戦の進行は悲観していた。白の大石を取りに行かねばならない形勢になった時点でだめだった。来週すぐに次局があるので、体調を整え全力で頑張りたい。

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