女優の安藤サクラさんが結婚の動機を聞かれた時に「この人となら別れることになってもいいと思った」と何かで語っていた。「あなたは喪失の絶望を知らないからよ」と知りもしない相手に鼻を鳴らしそうになったが、違うな、彼女はどんな未来も受け入れようと覚悟するほどに彼のことを求めたのだと、年がいもなく激しく羨望(せんぼう)する。

 冒頭から主人公ジミーは人生の岐路に立つ。苦しい状況下で、彼は一時も立ち止まることのなかった自分の18年を振り返る。そして18年前、「旅は人生の大切なものを思い出させてくれる」と台湾を旅してくれたアミを思い、彼女の生まれ育った日本の北国を目指す。

 二人で共に歩む道も、一人で歩みながら相手を思う道も、人を愛した豊かな記憶が力をくれるのだと教えてくれる。(スターシアターズ・榮慶子)

◇シネマライカムで上映中

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